スレイン法国が有する最強の部隊、
漆黒聖典の番外席次「絶死絶命」こと
アンティリーネ・ヘラン・フーシェ。
法国内でも有数の実力者が集まる漆黒聖典においても
「最強」とされる存在であった彼女だが
ある一件で記憶を失ってからというもの、
戻らない記憶に不安は覚えつつも、法国内で
大人しく過ごしていた。
が、ある理由で単身法国から出て辿りついた
アゼルリシア山脈での「出会 い」が、
あたかも波紋が広がるように
彼女の内面に変化をもたらす事となる。
そんな中、同僚の「修業したい」と言う希望を
（彼女なりに）理解し叶えるべ く、
彼女は最適と考えている修行場での鍛錬を
提案しただけでなく、自身も同行を申し出る。
それは当の同僚のみならず、外出許可を求められた
神官長たちす らも驚かせるに十分なものだった。
他隊員との一対一の修業をしたいと言う提案は
彼女には珍しい積極的な、法国の戦力育成上も
有益な内容であり、神官長た ちは驚きつつも
喜びをもって受け容れたようである。
……それこそ、自分たちの信じる神に対して
心からの感謝を奉るほどに。
かくして同僚と修業に出向いた 彼女であったが、
修行場であるアゼルリシア山脈で奇しくも再会した
闇妖精の双子と協力して混沌獣を討伐する事になる。
その際に防寒用として借り受けた装 備は、
魔導国の伝承に登場する「良い子に贈り物を届ける」
不可思議な存在をモチーフにしているらしい。
闇妖精の双子からその話を聞いたアンティリーネは、
「自分も同僚に、修業と言う形で贈り物を贈る事が
できたのかな」とこっそり考えたようだ。
いずれにせよ「強者として為すべき事」の存在を、
彼女が意識するようになった事は確かであろう。