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パートナー 木日 砖头本ss

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挺早之前买的砖头本了,现在闲得无聊就搬运出来吧
工地日语就不翻译了,太太们自己拿翻译器翻译吧


IP属地:湖南来自Android客户端1楼2022-05-11 09:58回复
    「すみません、じゃあ、お先に失礼します」
    片付けを終わて立ち上がると、編集長が書類と資料の山の間から、無精髭の濃い顔を覗かせた。瓶底眼鏡の下で、眠たげな目を瞬かせる。
    「おう、木下はこれから夜間か」
    「はい、すみません、この忙しいときに」
    「構わねえよ、今のうちにしっかり勉強してこい。翻訳物の文庫を立ち上げるときには、お前を一番にこき使うから」
    戦争が終って五年が過ぎた。
    真弓は以前勤めていた出版社の先輩が立ち上げた新しい出版社で、戦後すぐに仕事を再開した。今年の春からは新しく出来た大学の夜間に通い始めて、三ヶ月が過ぎる。
    学部は英文学だ。戦争が激しくなる前の一時期、近くに住んでいた宣教師に英語を教えてもらっていたのだが、戦局が悪化し、その人も母国に帰国してしまった。勉強が中途で途絶えてしまったのが、ずっと惜しかったのだ。
    英語を習っていたことで、戦中は何かとで、戦中は何かと面倒な目に遭いもしたが、それも過ぎたこと。英語が敵性語と呼ばれて排斥運動が起こったのも過去のことだ。こうして堂々と英語が学べるようになったのが、今は嬉しい。 「あー、そうだそうだ、木下、ちょっと来い」
    「はい?」
    鞄を手に扉に向かおうとしていた真弓は、首を傾げながら戻る。編集長は、真弓を手招きすると、衝立で区切られた奥の小部屋に引っ込んだ。
    仕事中の同僚の間を抜けて、後を追う。編集長は真弓が入ると、椅子に座れと促した。
    「あの、すみません、時間が……」
    「話は二分で終るから」
    「はあ……」
    夜に早く上がらせてもらっている分、朝は早く出て来ている。勿論、入学前に話し合ってのことだし、応援してもらっていると思っていたのだが、何かまずいことでもあつただろうか。不安に思いながら腰を下ろすと、編集長は神妙な顔で身を乗り出した。
    「あのな、木下。お前、見合いする気はないか」
    「み……見合い、ですか?」
    予想外な話に、目を見張った。
    「おう。俺の知人にいいお娘さんがいてなあ。将来有望な若いのはいないかって言うからな」
    面食らっていたら、編集長は真顔で続ける。
    「お前なら真面目だし浮いた噂のひとつもない。ここと大学と家の往復で、酒も付き合い程度、煙草はやらないギャンブルもやらないと来た。うってつけだと思ってな」
    「いえ、僕はその……」
    「なんだ、安月給を気にしてるのか?大丈夫だ、あちらさんもその辺は飲み込んで下さってるし、慎ましくて美人で気立てのいいお嬢さんなんだ」「いえ、そうではなくて……」
    真弓は手を振ると、頭を下げた。
    「すみません。せっかくのお話ですが、お断りさせてください」
    「どうして。お前もそろそろ嫁さんくらいもらってもいいだろうに。」
    「いやあ……僕は、そういうのは」
    編集長は探るような目を真弓に向けた。「もしかして、いい人でもいるのか?」返事を躊躇したのは、編集長は納得したらしい。残念そうに頭を搔いている。「う-ん、そうかあ。そういうことなら仕方がないかなあ」
    下手に反論はしない方が、話は早そうだ。
    「えつと……すみません、本当に。せつかくのお話なんですが」
    「まあ、構わんさ。しかし妙な女に捕まっちゃいないだろうな。俺がちゃんと見てやるから、一度連れてこい」
    「…は、はあ」
    編集長は腕を組んで唸った後、にやりと笑って真弓を見上げた。
    「そういやお前、えらく綺麗な兄ちゃんと一緒に住んでるらしいじゃないか。まさかそっちの方じゃねえだろうな?」——あれじゃ、すっかり「そっちの人」だと思われただろうなあ。授業が終って帰り道、真弓は溜息を落としていた。結局、答えあぐねて、時間切れを言い訳に編集部を後にしてしまったのだ。逃げたも同然だ。編集長の性格を考えると、同性愛者だからといって、会社を追い出されるようなことはないだろうが、何となく気まずい。しかしああして改めて訊ねられると、自分でも悩んでしまう。同性愛者であると言い切ったところで、さしたる不都合も無いとは思うが、単純に、実際の自分との乖離を感じるのだ。
    ーー同性との✨行為の経験はある。と言っても、過去に一度だけで、その相手が今の同居人だ。それ以来、男女を問わず誰かに欲情した覚えもなし、心意かれた覚えもなし。それで同性愛者を名乗ってもいいものだろうか。
    「結婚ねえ……」それすらまともに考えた事が無かった。同居生活を送りながら結婚生活も送る訳にはいかないだろうから、そうするとどう考えても同居は解消だ。
    …どうにもピンと来ない。


    IP属地:湖南来自Android客户端2楼2022-05-11 10:00
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      「ただいま!」
      悩みながら玄関を開けて声を投げると、奥から足音と共に柔らかな声が聞こえた。
      「お帰りなさい、真弓さん。お夕飯出来てますよ」
      遅れて、要が顔を出す。
      「…うん、ありがとう」
      顔を見ると、ほっとした。要と近しく住むようになって、かれこれ三年ほどになるだろうか。この家に引っ越してからは、一年になるかならないかだ。
      要が以前住んでいた下宿を出たのは、平たく言えば大家が亡くなったからだった。大家は要に家を遺したが、相続でいささかもめ事があって、結局要は、譲り受けた家を、大家の遠縁達に明け渡したのだ。
      彼が新居を探しはじめたところで、真弓の下宿の隣室が空いた。ちょうどいいからとそこに要が越してきて、だから最初の二年は、同居と言うより隣人だった。そこに昨年、復員してきた土田が英国に渡るため、家の買い手を探しているという噂が耳に入り、要と話し合って二人で買うことに決めた。そして引っ越してきたのが今の家だ。
      要も真弓と同じく、今年から大学の夜間に通っている。二人で家事を分担し、休みの日もお互いに好きなことをして過ごす。
      双方あまり出歩く方ではないから、結局二人して本を読んでいるか、学校の課題に追われているか。大して話をするわけでもないが、お互いにそれが苦にならないのだ。
      恋人か、愛人か。そう問われると違うだろう。友人かと問われれば、そうかもしれないが、もつと繁がりは深い。親友と言い切るのも何かが違う気がする。
      要は自分にとって、とにかく大事な存在であることは確かだ。食事と風呂を終え、真弓はレポート用の本に目を通す。
      その真弓の背に寄りかかって、要も本を読んでいた。多分、課題の資料なのだろう、部屋の隅に積んであった洋書だ。
      肩越しに見ると、要はすっかり没頭しているようだ。湯上がりの髪にはまだ湿り気が残っていて、白く秀でた額に枝垂れている。
      ーーあれはまだ学生の頃、やりきれない憤りを抱えて、要に辛く当たった事があった。理不尽な怒りで、要には随分と迷惑をかけたものだ。その勢いのまま一度だけ関係を持って、それからしばらくして、独り立ちするために距離を置いた。
      再会は偶然で、こうして共に住むようになったのは成り行きだ。彼の事をどう思うのかと問われると、あまりに複雑で返答に困る。だがやはり誰かと結婚して要と離れるということは、考えられない。
      離れろと言われたら、きつと嫌だと言って抵抗するだろう。真弓は要の横顔をじっと見つめて、おもむろに口を開いた。
      「……ねえ、要さん」
      要は本に目を落としたまま応える。
      「はい?」「キッスしてもいい?」
      大きな目が二、三度瞬きを繰り返し、それから真弓を捉えた。
      「…なんで?」
      「特に理由はないけど、試しに、だめ?」「いや、別にだめってだめってことはにですけど」
      「じゃ、目をつぶって」
      要は少し困った顔をしながらも、身を起こし、験を閉じた。どちらからともなく顔を近付け、口付ける。柔らかな感触が、触れて、離れた。目を開けると、間近に薄く開かれた験があった。桜のような色にほんのりと染まっている。真弓を見ると、苦笑した。
      「……急に変なこと言い出すんだからなあ」「ちょっと試してみたかったんだ。ーーどう思った?」
      「どうって言われても、ただ、キッスだなあ、としか」
      思わず吹き出すと、要が眉をつり上げた。「何でそこで笑うかなあ」
      「だって、身も蓋もないからさ」
      「文学的な素養は欠けてるんですよ」
      「嫌じゃないよね?」
      「嫌な訳ないじやないですか。ーーそう言う真弓さんは?」
      問われて、首をひねる。無論、嫌な訳ではない。柔らかな唇は心地よかった。ずっと触れていたい気も、他の場所に触れたい気もしたが、実際に行動に移すより、その余韻に浸っていたい気もした。
      「んー……キッスだなあ、って思ったかなあ」
      「同じじゃないですか」
      今度は要が吹き出す。真弓は身を乗り出した。
      「じゃあ、例えば僕が、しようって言ったらどう思う?」
      要は面食らった顔で、頭を搔いた。それから向き直って胡座をかくと、真弓の顔を覗き込む。
      「本当に妙なことを言い出しますね。何かありました?」
      「うん、実はさ。見合いの話が来て一ー」
      編集長の話をかいつまんで聞かせると、要は破顔した。
      「なるほどね、それで返答に困った訳ですか」
      「うん。改めて考えると、説明しにくいよね、僕らの仲って」
      「そうですねえ」
      要は屈託なくからからと笑う。その様子を見ていたら、何故だか気が楽になる。真弓も胡座をかくと、首を巡らす。開け放った窓にかかる廉越しに、涼しい風が吹込んでいた。


      IP属地:湖南来自Android客户端3楼2022-05-11 10:24
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        「僕はさ、このままの関係で居るのが嫌な訳じゃないんだ」
        「ええ」
        「僕だって例えば、要さんとならそういうことも出来ると思うし、それが嫌な訳じゃないよ。でも、そういうの、必要ない気もしてさ。…要さんは?」
        要は少し首を傾げて考えていたが、「多分同じかな」と答えた。
        「僕ら二人とも、性的なことでは、辛い思い出もありますしね」
        「…うん」
        要と関係を結んだきつかけも、思えばそれだった。
        「そのせいもあるのかなあ。特別、したいとも思わないんですよね」
        二人とも、心の傷はとうに乗り越えたつもりだ。だが、なにがしかの影響は残っているのだろうか。それとも、元々そういう質なのだろうか。しても構いはしないが、しなくても生きていける。どうやら自分たちにとっては、性行為とはその程度の物のようにも思う。
        「嫌な訳じゃないんですけどね。……してみます?」
        要が悪戯めいた笑みを浮かべ、真弓も釣られて笑った。
        「......気が向いたら、いつかね」
        「ですよね」
        顔を見合わせて、二人で笑いあった。それから何事も無かったかのように、同時に読みかけの本を手に取った。豊の上に下ろされていた要の左手を何気なく握ると、要も握り返してくれる。それだけで心が満ち足りる気がした。ーーそうだ。寄り添うことや、手を握ること、それだけで自分たちには十分なのだ。こんな関係を何と呼ぶのかは分からない。
        周囲に同じような例もなく、言葉にはしづらい。だがこれは互いが、互いの苦しみや悩みを乗り越えた果てに得たもの。世の中に無二の貴いものだ。きつと自分が先に死ねば要が看取ってくれるだろうし、逆も然りだろう。残された方が近くときには、きっと迎えに来てくれる。そう確信を持って言える相手がいることの幸福は、何ものにも代えがたい。
        「そうだ」
        本を読んでいた要が唐突に顔を上げた。その面は宝物を見つけた子供のように輝いている。「ねえ、「パートナー」っていうのは、どうですか?」
        「え?」
        「僕らの関係。人に聞かれたら、そう答えたらいいですよ」
        真弓は手にしていた本を下ろして苦笑する。「「相棒」じゃ駄目なの?」
        「横文字の方が酒落てるでしよ、せつかく気兼ねせずに使えるようになったんだから。それに新しい気がしませんか?ちよつと新時代っぼいでしょ」
        澄まし顔で答えている要を見たら、それも悪くない気になった。
        「新しいか。確かにそうなのかもしれないね」
        自分たちのような関係に適当な名前がないのは、きつと前例が少ないせいだ。ならばいっそ、名乗ってしまえばいい。いっそ、その方が清々しい気もした。
        「いいかもね。...... パートナーか」
        では手始めに明日、編集長に答えてみるのはどうだろう。自分には唯一無二のパートナーがいるのです、と。
        胸を張ってそう言う自分を想像してみたら、誇らしいとと同時に愉快な気分になってきて、いつの間にか笑い出していた。


        IP属地:湖南来自Android客户端4楼2022-05-11 10:24
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          感谢分享!
          真的很喜欢真弓,游戏结尾木日的关系也很难定位,恋人未满,但又不是普通的朋友,这个短篇给出的结论是独一无二的partner,都可以,反正你们在一起好好的就好了


          IP属地:上海来自Android客户端5楼2022-05-11 17:01
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