■突如、咸陽に現れた斉王・王健!! 急転直下の大王同士の会談に向け、緊張が走る!!!
急いで移動する昌文君「せっ 斉王との会談は何の話なのか不明なので 我ら主要人の少数のしきりで」
「本殿ではなく 一目につかぬ方紀殿に密かに執り行います こっ こっちです。」
政の顔にも緊張の色が。
政「李牧の方は!?」
昌文君「待たせています あちらは本殿にて謁見を」
「李牧も何の目的で乗り込んで来たのか不明ですが とっ とにかく斉王をっ…」
「大国の王が突然 咸陽に来るなど前代未聞 本来なら国をあげて迎えねばならぬ程のっ」
政「あれが方紀殿か?」
昌文君「ハッ」
政「斉王は?」
昌文君「まだ下の青宮に」
政「方紀殿に玉座は?」
昌文君「設けておりません 相手も王なので一応 礼をもって席は同じ高さに」
「しかし まだ中の準備は終わってません」
「くそっ いきなりやって来ておいて“長居せぬ故 すぐに場を設けよ”などと斉王が注文をつけたせいで 今 大急ぎでっ…」
「……ん?」
■東の大王、西の大国の都にて相見える——。
政が通りがかった通路に斉王と蔡沢の姿が。
蔡沢「ヒョッヒョ」
政「!」
昌文君「!?」
「あっ」
斉王「よォ」
「秦王」
政「………」
(斉王————)
斉王「急かしてすまぬなァ 秦丞相」
昌文君「い…いえ…」
何故かテーブルがセッティングされ、ご馳走が用意されていく。
政「?」
昌文君「?」
斉王「おーうまそうだな」
「これは何だ?」
給仕「牛の舌の塩焼きでございます」
斉王「蔡沢に言って秦の美食を用意させている」
「──と言うわけで食べながら話すぞ秦王」
「よいな?」
政「!」
昌文君「!」
「なっ…」
「おっ お待ち下さい」
「たっ 大国の大王お二人の会談が こんな踊り場でなど…」
「いっ 今 あの方紀殿で準備が進んでいますのでそちらで」
「いっ…今しばらくお待ちをっ…」
斉王「密室でただしゃべるだけならわざわざ秦まで足を運ばぬわ」
「儂は“秦という国と王を感じに” 咸陽(ここ)まで来たのだ 丞相よ」
昌文君「!」
政「………」
政「分かった」
「ここでやろう」
昌文君「! だ 大王様っ」
満足そうな表情の斉王。
斉王「ならば始めるぞ」
「席は王二人と蔡沢の三席しかない 悪いが丞相らは外せ」
昌文君「!?」
「わ 我々も外せとっ!?」
「た たった三人で会談を!?」
蔡沢「いやいや儂はただの橋渡し役故」
「ここで見守るとしよう」
「一席は丞相に」
斉王「………」
「二人いるようだが?」
蔡沢「悪いが退がってくれるか?」
「昌平君」
昌文君「!」
昌平君「……ハ」
介億「? ……」
昌平君「行くぞ 介億」
介億「ハッ ハハ」
素直に引き下がる昌平君。
斉王「給仕達も全員下がれ」
「食は楽しむが──」
「これより重い話をする」
頭を下げ、引き下がる給仕たち。
蔡沢「これ」
「酒だけここに」
給仕「ハ」
昌文君(…なぜ蔡沢様は 私を)
斉王「──さて」
昌文君「!」
斉王「では」
昌文君(始まる)
(本当に東西の二大国王同士の会談が…)
斉王「改めて」
「第八代斉王 王建である」
昌文君「!?」
(なっ)
いつかの王騎将軍や呂氏と同じく、斉王が大きく見えている。
言葉を失う昌文君「……」
蔡沢「ヒョッ」
「……」
蔡沢すら緊張の色を浮かべる。
昌文君(で でかい)
(これが東の大国 斉のっ……)
政「第三十一代 秦王」
「嬴政である」
斉王「!」
昌文君「!?」
「熱っ!?」
(今度は大王様から熱風がっ!!)
蔡沢「ヒョ」
斉王「…… ホウ」
「綺麗な顏の割に猛々しいな」
「蔡沢から聞いていた通りだ」
「──して」
「秦王よ」
政「待て 斉王」
昌文君「!?」
蔡沢「?」
政「まずは 四年前の合従軍の折」
「斉が合従より抜けてくれたこと──」
「秦王として改めて礼を言う」
「斉軍が抜けなければ 正直 今の秦がどうなっていたか分からなかった」
深々と頭を下げる政。
昌文君「……」
「大王様…」
斉王「……」
「別にあの時は」
「秦国を助けたいと思ったからではない」
「あの時 合従から離脱した本当の理由は」
「合従が秦を滅ぼして その土地と人間を六国で取り合った“後の世”が」
「見るにたえぬ汚濁になると思ったからだ」
昌文君「!?」
政「!」
(………)
斉王「…… だが」
「あろうことか そこで救われたお前達が今度は 六国を滅ぼし全てを手に入れて それ以上の汚濁を示そうとしている」
昌文君「!」
政「!」
昌文君「……」
「斉王…」
政「中華統一を汚濁と断ずるならば」
「俺は断固としてそれを否定する」
斉王「そう それだ」
「否定してみせろ 秦王」
「蔡沢から中華統一の話を聞いた時」
「儂はすぐにこう思った」
「趙の李牧と結び “第二の合従軍”を興し」
「次こそ 秦国を滅してしまうかとな」
昌文君「!」
政「!」
斉王「だが蔡沢は 秦王は続けてこう言ったと儂に伝えた」
「“人が人を殺さなくてすむ世界がくる”と……」
「相違ないか?」
政「ああ」
「勿論だ」
斉王「空論だ」
政「違う!!」
力強く否定する政。
斉王「秦王──」
「お前の見ている“理想の世”を聞いた時」
「蔡沢同様に」
蔡沢「……」
斉王「この儂でさえ正直」
「胸にくるものがあった」
昌文君「!」
斉王「だがな秦王」
「“六国征服”と“人を殺さぬ世”」
「この間には“とてつもなく重い現実”が抜け落ちている」
昌文君「!!」
斉王「“国”を滅ぼされ その日より“仇敵国の人間”に──」
「強制的に“秦人”にならされる六国の人間達の苦しみだ」
昌文君「!」
政「!」
斉王「“国”とは民にとって“根”をはる大地のようなものだ」
「その国が失われれば人は必ず心身共に朽ち果て 即ち」
「今の六国の人間全てが朽ち果てる」
昌文君「で ですから その場合は秦が新しい根をはる大地にっ…」
斉王「どうやって?」
昌文君「………」
斉王「秦人のなるのを拒む者は? 力で従わせるか? 国々を叩きつぶすその武力で?」
「それしかあるまいな」
「だがそれを全中華に行えば」
「それはもう この五百年の争乱の世以上の汚濁───」
「汚濁の極みよ」
「お前達は六国征服の後 亡国の民達をどう救済するつもりだ」
「お前の理想が 空論ではないと言い切ったな」
「ならばお前達から見て 滅ぼされる側に立つこの斉王が しっかり納得できる答えがあるのであろうな」
「秦王よ!」
思わず力の籠る斉王。
蔡沢も昌文君も冷や汗を浮かべている。
昌文君(ち…)
(ちょっと待て…)
(今の段階でその大問題の回答など)
(まだ我々には…)
斉王「それを聞くために」
「はるばる咸陽まで足を運んだ」
政「!」
斉王「もし答えが用意されていないままの」
「六国征服だと言うのなら…」
「その前に第二の合従軍で秦を滅ぼさねばならぬぞ」
昌文君「なっ」
「せっ斉王 それはっ…」
斉王「秦王」
政「そう焦るな 斉王よ」
「答えは」
「ある!」
昌文君「!?」
「えっ」
蔡沢「!」
■春秋戦国時代五百年で未到の問題に挑む政!! 秦国の興亡が懸かるその答えとは!!?
キングダム 488話 ネタバレへ続く!!
急いで移動する昌文君「せっ 斉王との会談は何の話なのか不明なので 我ら主要人の少数のしきりで」
「本殿ではなく 一目につかぬ方紀殿に密かに執り行います こっ こっちです。」
政の顔にも緊張の色が。
政「李牧の方は!?」
昌文君「待たせています あちらは本殿にて謁見を」
「李牧も何の目的で乗り込んで来たのか不明ですが とっ とにかく斉王をっ…」
「大国の王が突然 咸陽に来るなど前代未聞 本来なら国をあげて迎えねばならぬ程のっ」
政「あれが方紀殿か?」
昌文君「ハッ」
政「斉王は?」
昌文君「まだ下の青宮に」
政「方紀殿に玉座は?」
昌文君「設けておりません 相手も王なので一応 礼をもって席は同じ高さに」
「しかし まだ中の準備は終わってません」
「くそっ いきなりやって来ておいて“長居せぬ故 すぐに場を設けよ”などと斉王が注文をつけたせいで 今 大急ぎでっ…」
「……ん?」
■東の大王、西の大国の都にて相見える——。
政が通りがかった通路に斉王と蔡沢の姿が。
蔡沢「ヒョッヒョ」
政「!」
昌文君「!?」
「あっ」
斉王「よォ」
「秦王」
政「………」
(斉王————)
斉王「急かしてすまぬなァ 秦丞相」
昌文君「い…いえ…」
何故かテーブルがセッティングされ、ご馳走が用意されていく。
政「?」
昌文君「?」
斉王「おーうまそうだな」
「これは何だ?」
給仕「牛の舌の塩焼きでございます」
斉王「蔡沢に言って秦の美食を用意させている」
「──と言うわけで食べながら話すぞ秦王」
「よいな?」
政「!」
昌文君「!」
「なっ…」
「おっ お待ち下さい」
「たっ 大国の大王お二人の会談が こんな踊り場でなど…」
「いっ 今 あの方紀殿で準備が進んでいますのでそちらで」
「いっ…今しばらくお待ちをっ…」
斉王「密室でただしゃべるだけならわざわざ秦まで足を運ばぬわ」
「儂は“秦という国と王を感じに” 咸陽(ここ)まで来たのだ 丞相よ」
昌文君「!」
政「………」
政「分かった」
「ここでやろう」
昌文君「! だ 大王様っ」
満足そうな表情の斉王。
斉王「ならば始めるぞ」
「席は王二人と蔡沢の三席しかない 悪いが丞相らは外せ」
昌文君「!?」
「わ 我々も外せとっ!?」
「た たった三人で会談を!?」
蔡沢「いやいや儂はただの橋渡し役故」
「ここで見守るとしよう」
「一席は丞相に」
斉王「………」
「二人いるようだが?」
蔡沢「悪いが退がってくれるか?」
「昌平君」
昌文君「!」
昌平君「……ハ」
介億「? ……」
昌平君「行くぞ 介億」
介億「ハッ ハハ」
素直に引き下がる昌平君。
斉王「給仕達も全員下がれ」
「食は楽しむが──」
「これより重い話をする」
頭を下げ、引き下がる給仕たち。
蔡沢「これ」
「酒だけここに」
給仕「ハ」
昌文君(…なぜ蔡沢様は 私を)
斉王「──さて」
昌文君「!」
斉王「では」
昌文君(始まる)
(本当に東西の二大国王同士の会談が…)
斉王「改めて」
「第八代斉王 王建である」
昌文君「!?」
(なっ)
いつかの王騎将軍や呂氏と同じく、斉王が大きく見えている。
言葉を失う昌文君「……」
蔡沢「ヒョッ」
「……」
蔡沢すら緊張の色を浮かべる。
昌文君(で でかい)
(これが東の大国 斉のっ……)
政「第三十一代 秦王」
「嬴政である」
斉王「!」
昌文君「!?」
「熱っ!?」
(今度は大王様から熱風がっ!!)
蔡沢「ヒョ」
斉王「…… ホウ」
「綺麗な顏の割に猛々しいな」
「蔡沢から聞いていた通りだ」
「──して」
「秦王よ」
政「待て 斉王」
昌文君「!?」
蔡沢「?」
政「まずは 四年前の合従軍の折」
「斉が合従より抜けてくれたこと──」
「秦王として改めて礼を言う」
「斉軍が抜けなければ 正直 今の秦がどうなっていたか分からなかった」
深々と頭を下げる政。
昌文君「……」
「大王様…」
斉王「……」
「別にあの時は」
「秦国を助けたいと思ったからではない」
「あの時 合従から離脱した本当の理由は」
「合従が秦を滅ぼして その土地と人間を六国で取り合った“後の世”が」
「見るにたえぬ汚濁になると思ったからだ」
昌文君「!?」
政「!」
(………)
斉王「…… だが」
「あろうことか そこで救われたお前達が今度は 六国を滅ぼし全てを手に入れて それ以上の汚濁を示そうとしている」
昌文君「!」
政「!」
昌文君「……」
「斉王…」
政「中華統一を汚濁と断ずるならば」
「俺は断固としてそれを否定する」
斉王「そう それだ」
「否定してみせろ 秦王」
「蔡沢から中華統一の話を聞いた時」
「儂はすぐにこう思った」
「趙の李牧と結び “第二の合従軍”を興し」
「次こそ 秦国を滅してしまうかとな」
昌文君「!」
政「!」
斉王「だが蔡沢は 秦王は続けてこう言ったと儂に伝えた」
「“人が人を殺さなくてすむ世界がくる”と……」
「相違ないか?」
政「ああ」
「勿論だ」
斉王「空論だ」
政「違う!!」
力強く否定する政。
斉王「秦王──」
「お前の見ている“理想の世”を聞いた時」
「蔡沢同様に」
蔡沢「……」
斉王「この儂でさえ正直」
「胸にくるものがあった」
昌文君「!」
斉王「だがな秦王」
「“六国征服”と“人を殺さぬ世”」
「この間には“とてつもなく重い現実”が抜け落ちている」
昌文君「!!」
斉王「“国”を滅ぼされ その日より“仇敵国の人間”に──」
「強制的に“秦人”にならされる六国の人間達の苦しみだ」
昌文君「!」
政「!」
斉王「“国”とは民にとって“根”をはる大地のようなものだ」
「その国が失われれば人は必ず心身共に朽ち果て 即ち」
「今の六国の人間全てが朽ち果てる」
昌文君「で ですから その場合は秦が新しい根をはる大地にっ…」
斉王「どうやって?」
昌文君「………」
斉王「秦人のなるのを拒む者は? 力で従わせるか? 国々を叩きつぶすその武力で?」
「それしかあるまいな」
「だがそれを全中華に行えば」
「それはもう この五百年の争乱の世以上の汚濁───」
「汚濁の極みよ」
「お前達は六国征服の後 亡国の民達をどう救済するつもりだ」
「お前の理想が 空論ではないと言い切ったな」
「ならばお前達から見て 滅ぼされる側に立つこの斉王が しっかり納得できる答えがあるのであろうな」
「秦王よ!」
思わず力の籠る斉王。
蔡沢も昌文君も冷や汗を浮かべている。
昌文君(ち…)
(ちょっと待て…)
(今の段階でその大問題の回答など)
(まだ我々には…)
斉王「それを聞くために」
「はるばる咸陽まで足を運んだ」
政「!」
斉王「もし答えが用意されていないままの」
「六国征服だと言うのなら…」
「その前に第二の合従軍で秦を滅ぼさねばならぬぞ」
昌文君「なっ」
「せっ斉王 それはっ…」
斉王「秦王」
政「そう焦るな 斉王よ」
「答えは」
「ある!」
昌文君「!?」
「えっ」
蔡沢「!」
■春秋戦国時代五百年で未到の問題に挑む政!! 秦国の興亡が懸かるその答えとは!!?
キングダム 488話 ネタバレへ続く!!